僧侶と設計と複数サイト運営を一人で——個人事業で生成AIに任せている仕事の全記録


「個人事業にAIを使いたいが、何から自動化すればいいのか分からない」——その疑問に、先に結論をお伝えします。最初に任せるべきは、派手な仕事ではなく「毎回同じ手順で、忘れると困る仕事」です。私は僧侶と建築設計の実務と複数サイトの運営をひとりで回していますが、それが成立しているのは、この基準で生成AIに仕事を渡してきたからでした。

この記事は、その全体の記録です。うまくいっていることも、途中で止まっていることも、実際に出した失敗も、そのまま書きます。

一人で複数の仕事を回している——その前提から書く

運営者の仕事(僧侶・建築設計の実務・複数サイト運営)

私の仕事は大きく3つあります。寺での僧侶としての務め。建築設計の実務者としての設計の仕事。そして、複数のWebサイトの運営です。

どれも「片手間」と呼べるほど軽くはありません。ただ、それぞれの中身をよく見ると、人にしかできない部分と、手順が決まっている部分がはっきり分かれています。法要や施主との打ち合わせは前者。毎月の配信や定期的な投稿、情報のとりまとめは後者です。AIに渡してきたのは、一貫して後者だけです。

この記事で書くこと・書かないこと

書くのは、実際にやっていることだけです。試したことがない手法を「できるはず」と紹介することはしません。逆に、売上や費用の実額、事業の内部の話は書きません。個別の仕組みの細かい作り方は、今後それぞれ独立した記事にしていくため、ここでは全体像に絞ります。

AIに任せている仕事の全体マップ

現時点でAIに任せている仕事は、大きく5つです。それぞれ別の記事で深掘りする予定なので、ここでは「何を任せて、何が残ったか」だけを書きます。

①文書の下書き作成

寺の行事の案内文、設計の打ち合わせメモの整理、報告書のたたき台。「白紙から書き始める」工程だけをAIに渡し、直しはすべて自分でやる、という分担です。ゼロを1にする時間が消えるだけで、文書仕事の心理的な重さは大きく変わりました。

②寺の月次LINE配信の自動化(GitHub Actions+API)

寺では毎月、LINEで法話を配信しています。以前は手作業でしたが、今はGitHub Actionsが決まった日にLINEのAPIを呼び、用意しておいた原稿を自動で配信します。私がやるのは原稿の用意だけ。配信作業そのものからは完全に手が離れました。仕組みの作り方と失敗の詳細は、月次LINE配信を全自動にした実録に分けて書きました。

③SNS投稿の自動化

事業のSNSは、投稿テーマの管理から画像・動画の用意、予約投稿までを一連の流れとして組んでいます。決まった曜日・時刻に投稿が出ていく仕組みです。ただし、SNS投稿は一度公開すると取り返しがつきません。公開前の中身の確認だけは人間の仕事として残しています。後述のとおり、ここは完全な手離れには至っていません。

④画像生成API(Fal.ai等)の活用

SNS用の画像や建築のイメージパースは、Fal.aiなどの画像生成APIで作っています。ブラウザで1枚ずつ作るのではなく、APIをプログラムから呼んで生成すると、決まった構図・決まったサイズで安定して量産できるのが利点です。費用は使い方次第ですが、私の場合は月に数千円から1万円に収まる桁です。

⑤情報収集の自動化

事業に関わる分野のニュースや公開情報を、毎朝AIに集めて要約させています。自分で検索して回る時間はほぼゼロになりました。ポイントは、集める範囲と形式をあらかじめ固定しておくことです。毎朝同じ形で届くから、変化に気づける。読むかどうか、動くかどうかの判断だけが手元に残っています。

自動化して分かったこと——うまくいった順ではなく「手離れした順」

完全に手が離れたもの/半自動で止まっているもの

5つを「どれだけ手が離れたか」で並べ直すと、こうなります。

手離れの度合い仕事残っている人の仕事
完全に手が離れた②LINE配信 / ⑤情報収集原稿の用意・読む判断のみ
半自動③SNS投稿 / ④画像生成最終確認・選別
道具として使う段階①文書の下書き直しは全部自分

並べてみると、手が離れた順は「仕事の定型度」の順です。毎月同じ手順のLINE配信は完全に離れ、毎回中身の判断が要るSNS投稿は、公開前の確認がどうしても残る。ここを最初から見極めておくと、期待外れが減ります。

失敗・やり直した話(実際にあったものだけ)

失敗も書いておきます。LINE配信の自動化で、当月の原稿が用意されていない月に、過去の配信を誤って再送してしまう不具合を出しました。自動化は「原稿がある前提」で組んであり、前提が崩れたときの挙動を決めていなかったのが原因です。以後、「原稿がなければ配信を中止する」という安全側の仕様に直しました。

自動化の失敗は、たいていAIの性能ではなく、「例外のときにどうするか」を人間が決めていないことから起きます。これは組んでみて初めて身にしみた教訓です。

これから自動化する人へ——一人事業でのAI導入の考え方

「時間が減る」より「忘れなくなる」が最初の価値

AI導入というと時短の話になりがちですが、一人で複数の仕事を回している立場で最初に効いたのは、「忘れなくなる」ことでした。毎月の配信、定期の投稿、朝の情報収集。一人事業では、こうした定期業務の抜け漏れがそのまま信用に響きます。決まった日に決まった仕事が黙っていても実行される——この安心感は、削減時間の数字以上に大きい価値でした。

最初の一歩は定型・低リスクの仕事から

これから始めるなら、**「毎回手順が同じで、間違えても取り返しがつく仕事」**から渡すことをおすすめします。私の場合、判断が絡む仕事ほど手離れせず、定型の仕事ほどきれいに離れました。最初から難しい仕事で試すと「AIは使えない」という結論になりやすい。順番の問題です。

まとめ——各テーマは今後、個別の実録として深掘りする

一人で複数の仕事を回すために、私が生成AIに任せているのは「毎回同じ手順で、忘れると困る仕事」でした。完全に手が離れたのは定型業務、判断が要る仕事は半自動止まり。そして失敗は、例外時の挙動を決めていないところで起きる——ここまでが現時点の全体像です。

このサイトでは今後、②LINE配信の自動化の作り方、④画像生成APIの使い方、⑤情報収集の仕組みなど、各テーマを1本ずつ独立した実録記事として深掘りしていきます。この記事はその地図として、仕組みが変わるたびに更新していく予定です。

補足: AIに仕事を渡す前の「話し方の設定」はnoteに書きました

仕事を渡す前の段階に、AIの応答そのものを揃えておく作業があります。返事が長すぎる、敬語がぶれる、頼んでいないのに英語が混じる——このあたりを設定ファイル1枚で揃える手順は、私自身がnoteに書きました。

【コピペ12行】AIの返事が長い・敬語がぶれる・勝手に英語が混じる——設定ファイル1枚で直す(note)

私が書いている連載の入口の記事で、この1本は無料で最後まで読めます。連載の続きには有料の記事も含みます。